case.4-4 モトグッチとBMW。対照的な縦置きエンジンモデル

MotoGuzzi

似ても非なるイタリア・モトグッチやドイツ・BMWの縦置きエンジンのバイクには、独特のフィーリングがあります。言ってみればそれは、前後に横たわる巨大なベーゴマに跨っているようなもの。回転しているベーゴマが倒れないのと同じで、エンジン内部のジャイロ効果(※自転により姿勢が崩れにくくなる現象)によって直進性を保とうとする力が働き続けているわけですね。

 

そのため、ライダーは外部から強い直進性を与えなくても、適度な揺れと共に心地の良いフィーリングを味わうことが出来ます。とは言っても、バイクを曲げるためには、その直進性を崩さないといけません。そこに縦置きエンジンならではの操る楽しみと、面白みが生まれてくるのです。

 

しかし、同じ縦置きエンジンのモトグッチとBMWではありますが、その乗り方はある意味対照的。モトグッチは操作する面白さ。BMWの場合は快適な安定性が大前提にあります。また、もしもモトグッチがイタリアではなくドイツで誕生していたとすれば、きっとBMWのような性格になっていたのではないかとふと思えてきます。先にも言ったように、やはり国民性と車両キャラクターとの関係は大いに影響し合っているのです。

 

自在なハンドリングと、快適なツーリング

縦置きエンジン車は一般的に方向転換が苦手ですが、モトグッチはそれを払拭すべく積極的に曲げられるように、自在な動きが取れるステアリング設計になっています。またフォークのオフセット量は昔ながらの大きいものですから、リーンに伴って自動的に切れやすくなっています。そのハンドルが切れる瞬間を見逃さず、身体を大胆に動かしていくのがコツで、その時はリーンアウト気味に構えるのがベター。またモトグッチの場合は、その切れ込みを制御するためにステアリングダンパーが装着されているタイプもありますから、それも有効に活用したいもの。

 

対してBMWは、ステアリングの切れ込みを感じさせない作りとなっています。ですから、まるでエンジンの上に跨った感覚のまま、上体を左右に傾けていくことになります。この前後バランス良く旋回させていく車両特性が、快適なツーリングに適した乗り味になるわけですね。

 

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 case.4-4 モトグッチとBMW。対照的な縦置きエンジンモデル
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