case.5-2 単気筒バイクはリラックスとエンブレが重要
単気筒バイクを表現するときに、「スリム」や「軽量」とよく言われますが、これは状況によっては不安定だとも言い換えられます。
軽いからバイクを振り回せるような気になりますが、そんなラフな操作をしていたとすればバイクに変な力を加えているということ。結果、動作が乱れてしまうわけです。また、スリムな分気持ち的にも不安になるかもしれません。一般的に多く見られるのは、ハンドルに力が入り過ぎている姿勢です。ハンドルには軽く手を添える程度で、バイク自身が曲がろうとする力、いわゆるセルフステアを利用するように昔からよく言われていますが、これは基本とされている割にはかなり難しいもの。
ステップ、ヒザ、お尻の3つでニーグリップすることを意識して、気持ち的には手離し出来るぐらいにリラックスすることを心がけます。そうすれば、自然とバイクの方からスルスルと向きを変えてくれますし、ラインの自由度も飛躍的に上がります。
そして他に重要なポイントが、エンブレ。単気筒バイクは他のエンジンに比べてその効き具合が大きいですが、これも良くも悪くも単気筒の特徴です。エンブレが強いと振動も出ますし、車体姿勢の変化も大きくなりますから戸惑う人も多いことでしょう。でも発想を転換させれば、通常のブレーキに加えて、もう一つ強力なブレーキが装着されているということです。
しかしエンブレで気をつけたいのが、その効き具合を低減させるためにエンジン回転を合わせようと意識し過ぎてしまうこと。ブレーキと同時にアクセルの開け閉めを必死にすることは、特に公道ではストレスが溜まる一方ですからそんなに気を使わなくても大丈夫です。
では、どうするのかと言えば、半クラッチでエンブレを逃がすことを覚えた方がベター。ブンッ、ブンッと一気にシフトダウンして尚且つエンジン回転にも合わせて……。そんな忙しない動作をするよりも、ブーン、ブーン、とゆっくりシフトダウンしながら軽くクラッチを当てて、姿勢とスピードを調整した方がリラックスしながらスムーズに走れます。またこうした方が、単気筒バイクでよくあるリアのホッピングも抑えられます。
コーナーの立ち上がりでは早めにシフトアップしてスムーズに速度を取り戻していくというのが単気筒バイクのライディングの理想です。そして何よりも大切なことは、ハンドル周りを中心に身体の力を抜いて、バイクを信用して走ること。そうすれば、バイクはきっと驚くほど高い運動性で応えてくれるはずです。
◆【車種別】他のポイントも合わせてご覧ください◆
◇ 【車種別】トップ
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◇ case.1-2 スポーツネイキッド KAWASAKI ZRX(FZ1、GSR750、etc)
◇ case.2-1 スーパースポーツ SUZUKI GSX-R(YZF-R1、CBR1000RR、etc)
◇ case.2-2 【テクニック1】 スーパースポーツで下りコーナーを曲がる
◇ case.2-3 【テクニック2】 スーパースポーツで上りS字コーナーを曲がる
◇ case.2-4 【テクニック3&4】 リアブレーキでバイクのバランスをコントロール
◇ case.2-5 【テクニック5&6】 下半身で荷重をコントロール
◇ case.3-1 旧車 KAWASAKI Z1(HONDA CB750、HONDA CBX、etc)
◇ case.3-2 旧車には特有の乗り方がある
◇ case.3-3 旧車バイクの実践的な走り方を学ぶ
◇ case.3-4 旧車バイクで下りの中速コーナーをこなす
◇ リアブレーキを使い、下りコーナーをこなす
◇ case.3-5 苦手な人の多い、右コーナーのヘアピンを走るコツ
◇ case.3-6 旧車を走らすための5つのライディングフォーム
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◇ case.3-8 旧車はバンク角が少ないことを忘れずに
◇ case.4-1 外車バイク Ducati、BMW、MotoGuzzi
◇ case.4-2 外車バイクを乗りこなすポイント
◇ case.4-3 個性際立つドゥカティの極意
◇ case.4-4 モトグッチとBMW。対照的な縦置きエンジンモデル
◇ case.5-1 単気筒バイクの奥深き本質
◇ case.5-2 単気筒バイクはリラックスとエンブレが重要
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